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ラテン系移民の夢と恋愛を描いた話題のミュージカル映画「イン・ザ・ハイツ」を観た感想!!

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話題のミュージカル映画「イン・ザ・ハイツ」を公開初日に観てきました!!

 

トニー賞やグラミー賞を受賞した同名ミュージカルが待望の映画化ということもあって、前評判も高め。

 

原作のミュージカルは、今、最もブロードウェイミュージカルでチケットが取れないと評判の「ハミルトン」のクリエイター、リン=マニュエル・ミランダが製作していて、彼自身、映画版の製作も参加していること、オールアジア系キャストのキャスティングでハリウッド映画の歴史を変えた「Crazy Rich Asians」のジョン・M・チュウが監督ということで、個人的には、めちゃめちゃ楽しみにしていました!

 

(記事の後半で色々と記述しますが、)正直なところ、期待とは裏腹に、かなり物申したいことがある作品です。しかし、ミュージカル映画として考えた場合、ラテンのサウンド感が非常に素晴らしく、これぞまさしく、映画館かつIMAXで観るべき作品だな~と感じました。

 

ここから先は、「イン・ザ・ハイツ」の作品に関するネタバレや感想が含まれてます。ネタバレなしで、本編をご覧になりたい方は、この記事は読まずに、劇場に直行お願いします!!!

 

【目次】

 

 

あらすじ

 

youtu.be

「イン・ザ・ハイツ」(原題:In the Heights)

公開:2021年

時間:143分

 

NYの片隅にある移民が多く住む地区、イン・ザ・ハイツ。ここで育った若者たちは、困難に直面しながら、それぞれの夢に向かって挑戦していく…。

 

 

感想

 

ソウルフルな楽曲の数々!サウンド感は、最強!!

 

とにかく「イン・ザ・ハイツ」は、劇中歌が最高にアツい!ラテン系移民の多い地域を舞台にしているだけあって、ラテンで陽気な音楽が作品の中心に物語が展開されていきます。

 

全体を通して、ラップでセリフのやり取りがされるシーンが多いのも、ミュージカルとしては、新鮮ですよね。ミュージカルといえば、レミゼラブルやオペラ座の怪人といったように、クラシックテイストなイメージが苦手という人も多いかもしれませんが、そんな人でも「イン・ザ・ハイツ」なら、見やすいだろうな~と思いました。

 

音楽も担当している製作者リン=マニュエル・ミランダの代表作といえば、ブロードウェイミュージカル「ハミルトン」です。「ハミルトン」もラップなどの取り入れた斬新な演出が印象的ですが、リン=マニュエル・ミランダのサウンド感が、「イン・ザ・ハイツ」にめちゃめちゃ反映されていて、素晴らしかったです。

 

 

冒頭8分の映像も公開されています。これを聴いてみて、テイスト的に好みだな~と感じる人は、約2時間半のミュージカル作品ですが、かなり楽しめると思います。

 


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映画としてのストーリーは、賛否両論あると思う(私は否定側)

 

「イン・ザ・ハイツ」の楽曲はどれも素晴らしいのは、言うまでもないことです。これらの楽曲を映像化して世界に届ける意味は、非常に大きかったと感じます。

 

しかし、「イン・ザ・ハイツ」で描かれるストーリー展開は、非常にモヤモヤしました。特に、今回の監督は、「Crazy Rich Asians」の監督、ジョン・M・チュウや、作品の生みの親であるリン=マニュエル・ミランダも関わっているので、個人的には、期待していただけに、残念だったなという印象でした。

 

「イン・ザ・ハイツ」では、NYの貧しい片隅で生きる若者の夢を追う姿や恋愛模様などが描かれているのですが、そのベースにあるのが、アメリカのラテン系移民たちが直面する差別や貧困などの問題です。

 

登場人物たちは、たくましく生きているのですが、ラテン系移民の子供というだけで、(〈白人の〉アメリカ人なら)、簡単に手にできる成功も、容易には手にすることが出来ない…という現実が描かれています。仕事を見つけるのも、家を借りるのも、一苦労。また、不法移民としての葛藤が描かれるキャラクターもいます。

 

ただ、「イン・ザ・ハイツ」内では、ラテン系移民コミュニティーが抱える問題があまりにも表面的にしか描かれておらず、彼らが抱える問題への向き合い方やアプローチ方法もあり得ないぐらい楽観的すぎだったと思います。

 

確かに、原作は2005年に初演のミュージカルなので、ストーリー展開に文句を言ってはしょうがないとは思います。舞台という限られた空間だから、なんとなく良い感じに収まる内容かつサウンド感だと思いますし、ミュージカルぽいと言えば、ぽいです。もし仮に、この映画化が2000年代であれば、それほど違和感なく見終えることができるかもしれません。

 

でも、今は2021年。あえて、今、この作品を映像化する意味を、私は問いたい。

 

それに、何度も言いますが、この映画の監督は、「Crazy Rich Asians」の監督、ジョン・M・チュウなんです。

 

 

「Crazy Rich Asians」は、話の内容こそは、(特に東アジアでは)よくある恋愛ストーリーではありますが、キャストを全員アジア系にして、シンガポールを舞台に描いたハリウッド映画ということで、ハリウッド映画史でも、非常に歴史的な作品となったのは記憶に新しいかと思います。

 

それこそ、アジア系コミュニティーに寄り添える監督だから作ることができた作品が「Crazy Rich Asians」でありますし、だからこそ、ジョン・M・チュウが作る「イン・ザ・ハイツ」では、ラテン系移民のコミュニティーに、もっと寄り添って作品作りが出来たのではないか…と感じてなりません。期待していただけに、残念でした。

 

ミュージカルも「Crazy Rich Asians」も好きすぎるので、辛辣な意見になってしまってごめんなさい。2020年代に公開する映画にしては、それなりのテーマを扱う割には、内容が薄すぎたということです。

 

 

 

まとめ

 

珍しくマイナスなことも書いてしまいましたが、結局のところ、「イン・ザ・ハイツ」は、賛否両論わかれる作品なのだと思います。

 

何故なら、ミュージカル映画としては、非常にクオリティーの高いものだからです。劇中歌は、非常にポップで軽快ですし、パッションが半端ないんです。音楽やダンスシーンメインで楽しみたい方には、非常に刺さる作品だと思いますが、私みたいに事前に期待を高めすぎていったり、内容メインで鑑賞すると、がっかりする人も多いと感じます。この当たりの評価は、観客の好みに委ねられるところですね。

 

ミュージカル要素を重視して、「イン・ザ・ハイツ」を観たいなら、絶対映画館で観るべきです!どうせ観るなら、動画配信サービス経由でおうちで観るには、もったいないサウンドのクオリティーです。相当良いオーディオを家に持っている場合を除いて、家ではあの映像体験は、絶対に無理です。

 

個人的な意見ですが、2時間30分の作品なので、家で鑑賞していたら、それこそ、途中で飽きてしまっていたかもしれません。観たいと思う気持ちがあるなら、劇場鑑賞(できれば、IMAXやDolbyに課金)が、絶対です!!!!!!!

 

 

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