ノルウェーのアラサー女性の恋愛を描いたNetflixオリジナル作品「ホーム・フォー・クリスマス」に主人公のデート相手として登場していたフェリックス・サンドマン(Felix Sandman)。
彼が主演のスウェーデンが舞台のNetflixオリジナル作品「クイックサンド 罪の感触」。これをやっと見た。
サスペンスとか犯罪モノってあまり好きではないけど、「クイックサンド」に引き込まれてしまった私がいた。正直、単純に犯罪ドラマってカテゴリーだけで言い表してはいけない作品だと感じた。
スウェーデンの裕福な高校で突如起こった銃乱射事件がストーリーの元になるんだけど、とにかく切なくて…。扱われているテーマも非常にセンセーショナルで、現代社会の問題を洗いざらいしているかのよう。フィクションのはずなのに、実話なのかな?と最初思ってしまうほど。見終わった後、頭の中でいろんなことを考えた。海外での評価が高い理由も納得の作品です。
ショッキングな演出が一部あるのと、主人公のマヤの立場に立って見ていると自分も作品に引き込まれてしまう作品なので、体調がいい時にご覧いただいたほうがいいかもしれません…。私は、映画見て作品にテンション引きずられるタイプなので、ちょっと落ち込みました。でも、見て後悔はしていません。
スウェーデン語の発音ってノルウェー語に非常に近いので、何となく聞いてわかる言葉も多くて、その点は、面白かった。
【目次】
「クイックサンド 罪の感触」の魅力を紹介します!
作品紹介
「クイックサンド 罪の感触」(原題:Quicksand Störst av allt)
2019年配信開始
Netflixオリジナル作品
全6話(1話 約40~50分程度)
音声:スウェーデン語(英語、ポルトガル語も選択可能)
字幕:日本語(スウェーデン語、ポルトガル語、英語、韓国語も選択可能)
分類:クライムドラマ
原作:Malin Persson Giolito著 「Quicksand」
2016年度のBest Swedish Crime Novel Awardを受賞した人気小説が原作。
音声だけじゃなくて、字幕のオプションが多いのは、Netflixオリジナル作品の強み。
律儀に日本語と北欧言語の字幕付けてくれるのは、Netflixだけだと思う。
あらすじ
『クイックサンド: 罪の感触』シーズン1 ティーザー予告編 - Netflix [HD]
裕福層が暮らす地域にある高校で、起こった銃乱射事件。犯行現場の教室に血だらけの状態で保護されたマヤ。彼女は、ショックで事件についての記憶があいまいの中、容疑者として拘束される。彼女は、残忍な銃乱射事件の実行犯なのか…。取り調べを受ける中、事件の発端となる恋人セバスチャンと付き合い始めた夏を思い出す…。
登場人物とキャスト
登場人物とキャストを紹介!
マヤ役:ハンナ・アルデン(Hanna Ardéhn)
成績優秀の高校生。セバスチャンとはもともと幼馴染。ある夏をきっかけに、セバスチャンの恋人になる。友達思いで、責任感が強く、セバスチャンをほっておけない。セバスチャンとの恋に溺れていく。
マヤ役のHanna Ardéhnはスウェーデン出身の女優。幼いころより芸能活動していたようで、近年は現地のテレビドラマや映画に出演していたようです。クイックサンドでの演技力は、圧巻でした。クイックサンドが評価すべき作品になりえたのは、Hanna Ardéhnが演じたマヤの存在が大きいと思う。将来、北欧を代表するすごい女優さんになる予感…。
セバスチャン役:フェリックス・サンドマン(Felix Sandman)
親が資産家で、裕福層の学生が通う高校の中でもずば抜けて、お金持ち。学校の人気者だが、傲慢で、自分勝手な性格。父親とは長年複雑な関係で、母親も幼いころに別れてから会っていない。両親からの愛に飢えたセバスチャンは、不登校、薬物、お酒などの非行に走る。
フェリックス・サンドマンは、「ホーム・フォー・クリスマス」に出演していた時も少し危ない男を演じていたけど、このセバスチャン役は、本当に危険で繊細な男の役でした。フェリックス・サンドマンって、なんでこんなに危険な男の役が似合ってしまうんだろう…。
フェリックス・サンドマンは、歌手活動をしています。
彼の曲は、本当にいい曲が多いので、ご興味がある方は、是非聞いてみてほしいです!「BOYS WITH EMOTIONS」と「SOMETHING RIGHT」という曲は特におすすめ!
感想
【注意】一部、ネタバレあります。
クイックサンドという現象
「クイックサンド」とドラマ名だが、このタイトルが、物語の全てを表していると感じた。
あまり聞きなれないが、クイックサンドとは、流砂現象の一種。浸透水の上昇の影響で、土砂が液状化してしまう現象のこと。土砂が水に触れるわけだから、簡単に言うと泥状態になるような感じ。底なしの沼ともいうことができる。
クイックサンドしてしまった土地は、非常に不安定。そこにはまってしまうと、大人でもなかなか抜けるのが困難になってしまう。
この物語も、クイックサンドのような悲劇の沼にはまり、どんどん引きずり込まれていく高校生たちの様子が描かれているようで、本当にせつなかった。
マヤ役、Hanna Ardéhnの演技が圧倒的魅力!
このドラマの一番の見所は、ヒロインのマヤ役を演じたHanna Ardéhnにあると思う。
このドラマの中で、一人の男に恋する普通の少女マヤから、銃乱射事件後に容疑者としてとらえられるマヤまで、幅広い表現を見せてくれる。難しい役どころだったと思うが、見事に演じ切っている。
銃乱射事件当日にマヤが犯行現場で保護され、刑務所に入れられるシーンから物語が始まる。正直、始めの方は、事件について詳しい描写がないので、何が起こったのか視聴者はよくわからない物語の構造だが、意外にこれが良かったと思う。マヤが受ける取り調べを通じて、事件の全容を解き明かすかのように、マヤによってセバスチャンとの思い出が語られる。
セバスチャンと付き合い始めたころのシーンは、本当に幸せそうだったのに、どんどん悲劇に向かっていって、回を追うごとに、感情移入しながら見てしました。Hanna Ardéhnの演技力あっぱれでした。
見終わった後に考えさせられるドラマが描くテーマ
このドラマでは、銃乱射事件をもとに現代社会が抱える問題を見事に描いていると感じた。特に、社会の問題が子供に与える影響の大きさをこのドラマが明らかにしている。
劇中のセバスチャンは、トラブルを多々起こす。ただ、それは、傲慢かつ金でなんでも解決しようとする資産家の父親の影響が大きいと言わざるを得ない。出来のいい兄がいるせいで、なかなか父親からも認めてもらえず、父親自身、セバスチャンとの関係もお金で片付けようとしている。母親も幼いことに出て行ってから会っていない中、孤独の状態が、セバスチャンを追い込んだのは、明らかだった。
不登校になったり、ドラックとパーティーに明け暮れたり、周りにも傲慢な態度をとったり、移民家系の同級生に差別的な発言をしたり、本当にどうしようもないキャラクターだったけど、彼を取り巻く環境がそうさせたと言わざるを得ない部分があった。
責任感の強いマヤは、そんな恋人をほっておけなかった。どんどん二人だけの世界だけに入り込んでいっているのも気づけないぐらい。
セバスチャンの周りにいる大人もそうだけど、実はマヤの家族も、子供のことをほったらかしていて無責任だと感じた。18歳で高校生。大人と言えば大人かもしれないけど、まだまだ大人の助けが必要な年代。恋人を助けるために、少しずつ変化していく娘の気持ちに、マヤの両親たちは、最後の最後まで気づいてあげることができなかったのが、よくわかる演出だった。
誰かこの二人を助けてあげることはできなかったんだろうか…とドラマながらに考えざるを得なかった。周囲の人が、助けてあげるべき存在だったはずだが、彼らの心配は、うわべだけだったように感じる。
大人と子供の間を行き来するような年代でもある高校最後の年。彼らは、非常に繊細かつ大胆に環境に適応し、社会を歩んでいるが、それ故に、周囲の環境や社会が彼らに与える影響は大きいということを、この作品は強く訴えかけていると感じた。
「クイックサンド」で起きた事件は、社会が生んだ悲劇だったと思う。
まとめ
スウェーデンからやってきたNetflixオリジナル作品「クイックサンド」は、最近見た作品の中で、最も衝撃的な作品だった。現実にある問題を社会や大人がどう向き合っていくかという視点から見ると、非常に考えさせられるドラマだった。
甘く切ない恋愛模様から銃乱射事件に至るまでのストーリー展開が、絶妙で一度見始めると、止まらない作品です。
マヤは、セバスチャンに出会わなかったらもっと別の人生歩めたのかな...と考えると本当に切なかった。社会が生んだ悲劇の代償を支払うには、あまりにもかわいそうすぎだよ…。
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